お酒もたばこもギャンブルもやって、
自由に人生を楽しむ事がAさんのモットー。
脳梗塞で体を悪くしてからも、自由にやりたいという思いを強く持っていました。
「もっと出かけたい。もっと遊びたい。」
でも家族や関係者は心配していました。出先で倒れたりしたら・・・
ある日、1人で行先を告げずに出掛けたAさん。
連絡を受けた担当ケアマネの鈴木が探し、発見した場所は・・・
自宅から車で40分ほどのパチンコ屋!
どうやらタクシーで移動したようです。
時刻は夕方5時過ぎ。鈴木は思いました。
一人では帰れないかもしれない・・・
すぐに声をかけて連れ帰ろう。
でも・・・
あまりにも楽しそうなAさんの姿を見て、鈴木は考えました。
自由に楽しく生きる事はAさんにとって大切な生きざま。
一人で帰る事ができるかどうかを見極めなければ、これからも外出を制限し続ける事になってしまう。
今、自分がすべきことは・・・
待ってみよう!
パチンコ屋の外で待ちながら、時々様子を見に行く鈴木。刻々と過ぎゆく時間。
いっこうに終わる気配がないまま2時間が経過しました。
お腹は減り、疲労は極限に達していましたが、利用者様の自由を守りたいという信念が、それを上回り、鈴木を突き動かしていました。
3時間後、ようやくパチンコ屋を出たAさんは近くのコンビニに入り、店員にタクシーを呼んでもらって無事に帰宅。
良かった。遠方からでもタクシーで帰れる。これでAさんの行動を過剰に制限せずに済む。
(お金の心配はあるけど・・・)
ホッと胸をなでおろしながら、鈴木はパチンコ屋を後にしまし。
鈴木は当時を振り返り、こう語ります。
「忍耐は大事だと思います(笑)やっぱりその人がどのくらいの事ができるのか見極めないと、何でもかんでも制限する事になってしまうと思うんです。しっかりとしたアセスメントには観察したり、考えたりする力だけでなく、忍耐も必要だと思います。その人が望む暮らしを実現するにはどうしたら良いのか、それだけ考えていつも行動しています。」